統合失調症・双極性障害で障害厚生年金2級を取得、年間約178万円の受給に成功したケース
この事例のポイント
統合失調症および双極性障害(躁うつ病)を抱え、定年退職を間近に控えた59歳男性の受給事例です。
長年、職場で辛い思いをされながらも勤務を続けてこられましたが、症状悪化により現在は休職状態にありました。
ご本人の就労における深刻な困難さと、ご家族(妻)による日常生活の全面的なサポート実態を申立書に詳細に反映しました。
事後重症請求により障害厚生年金2級が認められ、年額約178万円の受給が決定し、定年後の安心の支えとなりました。
相談者
性別:男性
年齢層:59歳
職業:会社員(現在は休職中)
傷病名:統合失調症・双極性障害(躁うつ病)
決定した年金の種類と等級:障害厚生年金2級
年間受給額:約1,780,000円(事後重症請求)
相談時の状況
ご本人は、平成14年11月頃に自宅で強い不安感や身の回りの変化を覚えたことをきっかけに、精神科のAクリニックを受診されました。当初は「適応障害」などの診断を受け、数年間通院を続けられました。その後、平成18年11月頃からはB病院へ転院。職場での人間関係のストレスや過労から、自傷・他害を想起するほどの強い希死念慮やパニック症状、妄想、興奮状態、対人恐怖、多弁・多動などの双極性障害および統合失調症の症状が顕著に現れるようになり、2度の精神科入院を余儀なくされました。
近年も症状の波が激しく、職場では過呼吸で倒れたり、注意散漫による事故への恐怖、被害妄想から上司への反発や人事への不満を募らせるなど、著しい就労困難な状態に陥っていました。結果として令和5年10月頃にCクリニックへ転院され、令和7年5月からは業務継続が不可能となり、会社を休職されている状況でした。59歳となり定年退職を間近に控える中、今後の生活や経済的な先行きに強い不安を抱えられていました。
日常生活においては、食欲の低下から2ヶ月で体重が5kg減少されるほどの状態で、食事の用意や身の回りの片付け、ゴミ出しなどはすべて同居する奥様が担っておられました。日中はほとんど横になって過ごし、外出も一人ではできず常に奥様の同行が必要な状態です。金銭管理や買い物も単独では困難であり、社会的な手続きも一人では一切行えないなど、ご家族の全面的な援助がなくては日常生活が成り立たない深刻な制限が生じていました。
相談から請求までのサポート
当プラザにご相談をいただいた際、ご本人は会社での精神的な辛さや定年退職を控えた将来への不安から非常に消耗されており、ご家族である奥様もまた、長年の看病と今後の生活への危機感を抱えていらっしゃいました。
まずは、初診日である平成14年当時の年金加入制度を確認したところ、会社員として厚生年金保険に加入されていたため、障害厚生年金での請求が可能であると判断いたしました。本事例のポイントは、ご本人が職場で長年辛い思いをされながらも、なんとか定年近くまで歯を食いしばって勤務を続けてこられたという点です。障害年金の審査において「就労していること」は時に不利に働く場合がありますが、実際には奥様の懸命なサポートや職場の特別な配慮(休職や業務の限定など)によって辛うじて籍を置いていた実態がありました。
そこで、当プラザでは病歴・就労状況等申立書の作成において、単に「勤務していた」という事実だけでなく、職場での度重なるトラブルや過呼吸での転倒、被害妄想による衝突など、どれほど精神的苦痛を伴いながら限界の状態で働いていたかを詳細に言語化しました。また、現在の休職に至るまでの経緯や、日常生活における奥様からの全面的な介護実態(食事、入浴、外出、金銭管理などにおける制限)を具体例とともに網羅的に記載いたしました。医師への診断書作成依頼にあたっても、これらの就労および日常生活の困難さが正確に反映されるよう、丁寧に情報を整理した資料を添えて橋渡しを行いました。
結果
事後重症請求の結果、統合失調症および双極性障害(躁うつ病)による日常生活や就労への著しい制限が認められ、障害厚生年金2級の受給が決定いたしました。年間で約178万円の年金支給が確定しました。
受給決定後、ご本人と奥様からは「会社で本当に辛い思いをしながらも、なんとか頑張ってきて本当によかった。これで安心して第二の人生のスタートを切ることができます。サポートしていただき、本当にありがとうございました」という、安堵に満ちた感謝のお言葉をいただきました。経済的な基盤ができたことで、退職後の生活不安が解消され、これからは治療に専念できる環境が整いました。
担当社労士からのコメント
本事例の相談者様は、統合失調症や双極性障害という非常に重い症状を抱えながらも、ご家族の支えのもと、定年近くまで懸命に社会人としての責任を果たそうと努力されてきました。障害年金の申請において、このように長年勤務を続けられていたケースでは「働けていた=軽症」とみなされないよう、就労実態の「内情」をいかに正確に伝えるかが非常に重要となります。
今回は、奥様による日々の献身的な介護実態と、職場での限界に近い苦悩をしっかりと書類に反映できたことが、障害厚生年金2級という適正な結果に繋がったと感じております。ご退職を前に、これからの第二の人生を支える大きな安心をお届けすることができ、私どもも大変嬉しく思っております。
同じ傷病で障害年金の申請をお考えの方へ
双極性障害(躁うつ病)や統合失調症などの精神疾患は、症状の波が激しく、ご自身やご家族だけで障害年金の申請手続きを進めることは精神的・体力的に大きな負担となります。「働きながらでも受給できるのか」「もうすぐ退職するが申請は可能か」といったお悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか。
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よくあるご質問
Q. 双極性障害や統合失調症で障害年金はもらえますか?
A. はい、双極性障害(躁うつ病)や統合失調症は障害年金の支給対象となる傷病です。幻覚・妄想、気分のはげしい変動、意欲の減退などの症状により、日常生活や就労に著しい制限が出ている場合、障害基礎年金または障害厚生年金の1級〜3級に認定される可能性があります。
Q. 定年退職を控えている、または休職中の場合でも障害年金は請求できますか?
A. はい、請求可能です。休職中の方や定年退職を間近に控えている方でも、病気のために本来の業務ができない状態であれば、障害年金を受給できる可能性は十分にあります。退職後の生活基盤を安定させるためにも、早めの申請準備をおすすめいたします。
Q. 長年会社員として働いていた場合、障害年金の申請は難しくなりますか?
A. 勤務実績がある場合、審査が厳しくなる傾向はありますが、受給できないわけではありません。職場でどのような配慮を受けていたか、辛い思いをしながらどのように勤務していたか、また家庭内でのサポート状況がどうであったかを申立書や診断書で客観的に証明できれば、本事例のように2級などに認定されるケースは多数ございます。
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著者

- 社会保険労務士
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はじめまして。「東京新宿・渋谷障害年金プラザ」を運営する横堀健社会保険労務士事務所の横堀健です。
障害年金は、身体障害だけでなく、知的障害や精神疾患、ガン、脳血管疾患、心疾患、糖尿病などにより生活や仕事に支障がある方を対象とした公的年金制度です。しかし、認知度が低く、受給資格があるのに請求していない方が多くいらっしゃいます。さらに、手続きが複雑なため、途中で諦めてしまう方も少なくありません。
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