完全房室ブロックと突発性拡張型心筋症で障害厚生年金3級を受給、年額62万円超+1年遡及が認定された事例
相談者
性別:女性
年齢層:30代
職業:契約社員
傷病名:完全房室ブロック、突発性拡張型心筋症
決定した年金の種類と等級:障害厚生年金3級
年間受給額:年額623,800円+1年分の遡及支給
相談時の状況
相談者は、風邪のような症状をきっかけに心不全を発症し緊急入院となりました。入院中には心臓が2回停止する重篤な状態となり、植込み型除細動器(ICD)を装着することになりました。当初は、心疾患による障害年金請求として比較的シンプルな事例と思われました。
しかし、審査が進む中で、既往歴として確認されていた**「突発性拡張型心筋症」と現在の状態との因果関係が認められた**ことで、状況は一変します。障害年金では、どの病気を起点とするかによって「初診日」が極めて重要になりますが、本件ではその初診日の整理が最大の争点となりました。
特に難しかったのは、コロナ禍で呼吸苦が出現した際に受診した医療機関と、その後症状改善が見られず精密検査を受け、「拡張型心筋症」と診断された医療機関のどちらを初診とみなすかという問題です。さらに、高校生時代に胸苦しさで2回受診した病院を初診とする可能性も検討されました。
結果として、初診日の考え方は厚生年金加入中→国民年金加入中→再び厚生年金加入中と何度も変更を余儀なくされ、請求手続きは難航しました。本件では、保険料の納付要件を満たせるかどうかという制度上の問題も大きな論点でした。
もし納付要件の問題がなければ、よりシンプルに請求を進められた可能性もありました。しかし、どの時点を初診日とするかによって加入制度(厚生年金・国民年金)や納付要件への影響が異なるため、医学的な因果関係だけでなく制度上の整合性も慎重に検討する必要がありました。
相談者は発症から約3年が経過していましたが、心疾患の影響により欠勤が多く、フルタイム勤務も困難な状況でした。体力的に安定した就労が難しく、業務制限を受けながら働いており、「この病気で障害年金が受給できなければ今後の生活が厳しい」という強い不安を抱えながらご相談に来られました。
相談から請求までのサポート
本件では、障害年金請求の中でも非常に難易度の高い**「初診日認定」**が最大の課題でした。完全房室ブロックと突発性拡張型心筋症との因果関係が指摘されたため、過去の受診歴を一つひとつ丁寧に整理し、どの受診が障害年金制度上の初診日に該当するのかを慎重に検討しました。
申請過程では、診断書の訂正・追記依頼、受診状況等証明書の取り直し、病歴・就労状況等申立書の修正・加筆など、多くの対応が必要となりました。特に、初診日の候補となる医療機関が複数存在していたため、医学的経緯と制度上の考え方を整理しながら、適切な請求方法を模索しました。
審査途中での返戻は、過去最多となる4回に及びました。その都度、必要書類を見直し、追加資料を提出しながら粘り強く対応しました。特に本件では、初診日の選択が納付要件に直接影響するため、単純に医学的な最初の受診歴だけで判断できない難しさがありました。
高校生時代の受診歴を初診とする案も慎重に検討しましたが、認定可能性や納付要件、加入制度との整合性を総合的に精査した結果、最終的には厚生年金加入中の初診日で請求を進める判断に至りました。
今回の受給決定は、医師による丁寧な協力、相談者ご本人の「諦めずに進めたい」という強い思い、そして障害年金制度に精通した社会保険労務士による制度整理と申請支援が揃って初めて実現できた事例でした。もし専門家の支援がなければ、受給に至ることは難しかった可能性もあるケースでした。
結果
申請の結果、完全房室ブロックおよび突発性拡張型心筋症により障害厚生年金3級が認定され、年額623,800円に加えて1年分の遡及支給が決定しました。
受給決定時、相談者は心不全により入院中でした。安定した就労が難しい状態が続く中で、障害年金が認定されたことで生活への不安が大きく軽減され、「本当に助かりました。今後の生活を考えるとありがたいです」と安堵の声をいただきました。
心疾患による障害年金は、初診日の判断や因果関係の整理が複雑になりやすく、今回のように納付要件や加入制度の違いが結果を左右するケースも少なくありません。特に、複数の受診歴がある場合や初診日の判断に迷う場合は、早い段階で専門家へ相談することが受給への近道となることがあります。
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著者

- 社会保険労務士
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はじめまして。「東京新宿・渋谷障害年金プラザ」を運営する横堀健社会保険労務士事務所の横堀健です。
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