大動脈弁閉鎖不全症と脳幹梗塞で上位等級の障害厚生年金2級を取得、5年遡及で460万円を受給した事例

この事例のポイント

  • 大動脈弁閉鎖不全症と脳幹梗塞の2傷病が認められ、併合認定により上位等級である障害厚生年金2級を取得
  • 脳梗塞の後遺症による失語症(言葉の認知困難)や、複雑に絡み合う過去の入退院・通院履歴を徹底的に整理
  • 過去5年間に遡って支給される「遡及請求」が認められ、一時金として約460万円の受給を実現
  • 年間約175万円の受給が決定し、体力の限界による退職後の経済的リスクを回避

相談者

性別:男性

年齢層:53歳

職業:元 看護師(相談当時は就労中、のちに退職を検討)

傷病名:大動脈弁閉鎖不全症、脳幹梗塞

決定した年金の種類と等級:障害厚生年金2級(併合認定により上位等級を取得)

年間受給額:約175万円(遡及額:約460万円)

相談時の状況

相談者は元々看護師として勤務していましたが、平成21年10月に大動脈弁閉鎖不全症(心疾患)の初診を迎え、その後、平成27年10月には脳幹梗塞(脳血管障害)を発症しました。脳幹梗塞の重い後遺症により、耳で音は聞こえているものの、相手が話す言葉の意味を正しく認知・理解できないという深刻な失語症状が残ってしまいました。さらに、大動脈弁閉鎖不全症による身体的な倦怠感やしんどさも重なり、日常生活や労働に著しい制限が生じている状態でした。

当プラザにご相談に来られた当時は、同じ職場の事務員として勤務されていた奥様の手厚い支えのもと、患者さんとの接触がほとんどない業務内容に配慮してもらいながら、なんとか勤務を継続されていました。通勤時の付き添いや職場内での介助・援助など、公私ともに奥様のサポートが不可欠な状況でしたが、身体的な負担はすでに限界に達しており、退職を真剣に考えられているタイミングでした。

相談から請求までのサポート

ご本人と奥様が同伴で当プラザにお越しになり、初回面談を実施いたしました。本案件の手続きにおける最大の困難点は、初診日から長い年月が経過している点に加え、脳幹梗塞による入退院の回数が非常に多く、「どちらの傷病で、いつ、どの病院を受診したか」という受診履歴が極めて複雑に絡み合っていた点でした。昔のことでもあるため記憶を辿るのも難しく、ご家族だけで整理するのは困難な状況でした。

そこで当プラザでは、膨大な医療機関の受診歴や入退院記録を一つひとつ丁寧に紐解き、時系列に沿って整理する作業にじっくりと時間をかけました。その上で、医師へ診断書作成を依頼する際には、現在の具体的な症状や日常生活の制限が正確に反映されるよう、情報提供のためのレターを作成いたしました。

また、「病歴就労状況等申立書」の作成にあたっては、看護師として勤務を続けられていたものの、それは同じ職場で働く奥様の日常的な通勤介助や職場内での手厚い援助(援助がなければ業務が成り立たない環境であったこと)があったからこそ成立していたという「就労の実態」を詳細に記載しました。単に「働いている」という事実だけで軽い等級に判断されないよう、実質的な労働能力の著しい低下と日常生活の困難性を強力に主張いたしました。

結果

審査の結果、大動脈弁閉鎖不全症(2級相当)と脳幹梗塞(3級相当)の2つの傷病がそれぞれ認められ、併合認定(複数の障害を合わせて全体の障害程度を判断すること)により、上位等級である「障害厚生年金2級」の受給が決定いたしました。さらに、過去に遡って受給を求める「遡及請求」も時効の限界である5年分が認められ、約460万円の一時金が支給されることとなりました。

今後は年間約175万円の年金が継続して支給されます。身体の限界を感じて退職を余儀なくされる状況において、この障害年金の受給が決定したことで、ご本人にとっても、長年寄り添い支えてこられた奥様にとっても、将来への経済的な不安を大きく解消し、安心して治療と療養に専念できる強固な生活基盤を築くことができました。

担当社労士からのコメント

今回の事例は、複数の重い傷病(心疾患と脳血管障害)を併発されており、さらに多くの入退院を繰り返されていたため、初診日の特定や受診履歴の整理が専門家にとっても非常に複雑な難案件でした。

結果として、大動脈弁閉鎖不全症の2級と脳幹梗塞の3級が合算され、併合のルールに則って上位等級である2級での受給へと結びつけることができました。また、「働きながら障害年金を請求する」というケースでは、就労している事実のみで不支給や低すぎる等級に認定されてしまうリスクがあります。しかし本件では、奥様の職場内での具体的な援助や、業務内容の大幅な配慮といった「就労の実態」を病歴就労状況等申立書で徹底的に証明できたことが、上位等級での認定、および5年遡及という最善の結果に繋がったと感じております。

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よくあるご質問

Q. 大動脈弁閉鎖不全症(心疾患)と脳梗塞など、2つの病気がある場合はどう認定されますか?

A. 複数の傷病がある場合は同時に申請を行い、それらの障害を合わせて全体の障害の程度を判断する「併合認定(総合認定)」を受けます。本事例のように、それぞれの傷病が認められることで、より上位の等級(障害厚生年金2級など)に認定される可能性が高くなります。

Q. 脳梗塞の後遺症(失語症など)がありますが、働きながらでも障害年金はもらえるのでしょうか?

A. はい、働きながらでも障害年金を受給できる可能性は十分にあります。ただし、一般の労働者と同じように働けていると判断されると不支給になるリスクがあるため、職場からどのような業務配慮を受けているか、家族からどのような通勤・就労介助を受けているかといった「援助の実態」を客観的に証明することが極めて重要です。

Q. 障害年金の「遡及請求(そきゅうせいきゅう)」とは何ですか?最高で何年分まで遡れますか?

A. 遡及請求とは、過去の「障害認定日(初診日から1年6ヶ月を経過した日など)」の時点ですでに障害の状態にあったと認められた場合、過去に遡って年金を受け取れる手続きのことです。法律上の時効があるため、最大で「過去5年分」まで遡って一時金として受給することができます。

Q. 昔の通院履歴や入退院が多く、初診日や受診歴の整理が難しい場合はどうすればいいですか?

A. 複数の転院や多くの入退院を繰り返している場合、ご自身だけで受診履歴を証明するのは非常に困難です。当プラザでは、専門の社労士が医療機関への確認や記録の紐解きを丁寧に行い、複雑な初診日の証明や書類整理を全面的に代行いたしますので、安心してご相談ください。

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著者

横堀 健
横堀 健社会保険労務士
はじめまして。「東京新宿・渋谷障害年金プラザ」を運営する横堀健社会保険労務士事務所の横堀健です。
障害年金は、身体障害だけでなく、知的障害や精神疾患、ガン、脳血管疾患、心疾患、糖尿病などにより生活や仕事に支障がある方を対象とした公的年金制度です。しかし、認知度が低く、受給資格があるのに請求していない方が多くいらっしゃいます。さらに、手続きが複雑なため、途中で諦めてしまう方も少なくありません。
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