障害年金は働きながらでも受給できる?収入額や仕事への影響、申請のポイントを社労士が徹底解説

「障害を抱えながらも、生活のために働きたい。でも、働くと障害年金はもらえなくなるのでは…」

障害年金の申請を検討されている方から、このようなご相談を非常に多くいただきます。仕事と年金受給の両立は、多くの方にとって切実な問題です。

この記事では、障害年金を専門とする社会保険労務士が、年間数多くのお問い合わせをいただく「働きながらの障害年金」について、皆さまが抱える疑問や不安を解消できるよう、専門家の視点から徹底的に解説します。

この記事を読めば、以下のことが分かります。

  • 働きながらでも障害年金がもらえるのか、その明確な答え
  • 審査で「収入」や「仕事の内容」がどう見られるのか
  • ご自身の働き方(正社員、パート、障害者雇用など)で注意すべき点
  • 受給の可能性を高めるための申請書類の書き方のコツ
  • 会社に知られずに受給できるのか、といったデリケートな疑問への回答

最後までお読みいただければ、「働きながら障害年金を受給するための正しい知識」が身につき、ご自身の状況で何をすべきかが見えてくるはずです。

【結論】障害年金は働きながらでも受給できます!

まず、皆さまが最も知りたい結論からお伝えします。

障害年金は、働きながらでも受給することが可能です。

年金制度において、「働いていること」や「収入があること」だけを理由に、障害年金が不支給になるという決まりは原則としてありません。

障害年金の審査で最も重要視されるのは、「ご自身の病気やケガによる障害の状態が、国が定める障害等級の認定基準に該当しているかどうか」という一点です。

ただし、特にうつ病や発達障害などの精神障害の申請においては、就労状況が審査に大きな影響を与えることも事実です。「働けている」という事実が、「日常生活を送る能力が十分にある」と評価されてしまう可能性があるからです。

だからこそ、ご自身の就労状況を申請書類上でいかに的確に伝えるかが、受給の可否を分ける重要な鍵となります。

なぜ「働きながらだと受給できない」と誤解されるのか?審査の仕組みを解説

そもそも障害年金の審査では、病気やケガによって「日常生活」や「労働」にどれほどの支障が出ているかを総合的に評価します。

この「労働にどれほどの支障があるか」を判断する材料として、審査官はあなたの就労状況を確認します。その際に、単に収入額や勤務時間の長さだけでなく、以下のような点を多角的に見ています。

  • 仕事の内容: 業務は単純作業か、複雑な判断を要するものか。
  • 職場での配慮: 周囲からどのような援助や配慮を受けているか。
  • 勤務の実態: 欠勤や遅刻・早退は多くないか。

つまり、「相当な援助や配慮がなければ、今の仕事を続けるのは難しい」という実態を客観的に示すことができれば、たとえ働いていたとしても「労働に著しい支障がある」と認められ、受給に繋がる可能性が高まるのです。

「働いている=症状が軽い」と短絡的に判断されるわけではない、ということをまずはご理解ください。

受給の可否を分ける!働きながら障害年金を受給するための3つの重要ポイント

働きながらの申請で、審査官が特に重視するポイントは以下の3つです。

ポイント1:障害等級の認定基準を満たしていること(大前提)

これは全ての申請における大前提です。仕事をしているかどうか以前に、ご自身の障害の状態が、障害等級(1級・2級・3級)の基準に該当している必要があります。

等級

障害の状態の目安

1級

他人の介助がなければ日常生活のことがほとんどできない程度

2級

必ずしも他人の助けを借りる必要はないが、日常生活は極めて困難で、労働により収入を得ることができない程度

3級

労働が著しい制限を受けるか、または労働に著しい制限を加えることを必要とする程度(※障害厚生年金のみ)

初診日に厚生年金の被保険者であった場合は3級に該当することで受給の可能性は広がります。だだし、基礎年金だけの場合、特に2級の基準に「労働により収入を得ることができない程度」とあるため、「働いていると2級は無理だ」と思われがちですが、これはあくまで目安です。後述する「働き方」によっては、働いていても2級に認定されるケースは十分にあります。

ポイント2:収入の「額」より「どのような働き方をしているか」

収入額に明確な基準はありません(※20歳前傷病の障害基礎年金を除く)。月収30万円でも受給できる人もいれば、月収10万円でも不支給になる人もいます。

審査官が見ているのは、収入額の背景にある「労働能力」です。その労働能力を判断するために、以下のような「働き方の実態」が細かくチェックされます。

  • 雇用形態: 一般雇用か、障害への配慮が前提の障害者雇用か。
  • 勤務時間・日数: フルタイムか、時短勤務か。週に何日出勤しているか。
  • 職場で受けている配慮:
  • 業務内容を簡単なものに変更してもらっている
  • 定期的な通院のために遅刻・早退が認められている
  • 体調が悪い時に休憩させてもらえる
  • 上司や同僚が常に気にかけてくれ、業務をフォローしてくれる
  • 電話対応や来客対応を免除してもらっている
  • 勤務状況: 欠勤、早退、遅刻の頻度。

これらの点を具体的に示し、「配慮なしでは働けない状態である」ことを証明することが重要です。

ポイント3:傷病による審査の観点の違い

傷病の種類によって、就労状況が審査に与える影響の度合いは異なります。

  • 精神障害(うつ病、統合失調症、発達障害、知的障害など)の場合
    最も就労状況が審査に影響しやすい傷病です。なぜなら、精神障害の審査は「日常生活能力」を評価の基本としており、就労は日常生活の一部と見なされるからです。特に一般雇用でフルタイム勤務をしている場合、「安定して就労できている=日常生活能力に問題なし」と判断され、受給のハードルは非常に高くなります。
  • 身体障害・内部障害(人工関節、ペースメーカー、がん、難病など)の場合
    身体障害や内部障害は、検査数値(血液検査、心電図、レントゲンなど)や身体の機能障害の程度が客観的に示しやすいため、就労の事実が等級認定に直接影響しにくい傾向があります。例えば、「人工関節を入れているが事務職で働いている」という場合、働いている事実よりも「人工関節を入れている」という客観的な事実が重視され、障害等級が認められるケースが多くあります。

ケース別!働き方ごとの申請ポイントと注意点

ご自身の働き方によって、申請でアピールすべきポイントは変わってきます。

正社員(フルタイム・一般雇用)の場合

最も受給のハードルが高いケースです。申請が認められるためには、「正社員として雇用されているが、実際には出勤もままならず、業務内容も大幅に制限されるなど、会社から特別な配慮を受けてようやく在籍できている」という実態を具体的に証明する必要があります。給与額が高い場合は、それに見合った労働ができていないことを客観的に示すことが重要です。

パート・アルバイトの場合

勤務時間が短く、業務内容も限定的であることが多いため、「労働能力に制約がある」と判断されやすい傾向にあります。ただし、「短時間なら問題なく働ける」と見なされないよう、仕事中にどのような支障が出ているか(頻繁な休憩が必要、ミスが多いなど)、なぜ長時間の勤務ができないのかを具体的に説明することが大切です。

障害者雇用で働いている場合

障害への配慮が前提となっている雇用形態であるため、申請においては有利な材料となります。「障害者雇用でなければ就労が難しい」という事実が、労働に制限があることの有力な証拠となるからです。ただし、障害者雇用だからといって必ず受給できるわけではありません。配慮の内容やご自身の症状をきちんと伝えることが必要です。

自営業・フリーランスの場合

ご自身の裁量で勤務時間や業務量を調整できるため、労働能力を客観的に示すのが難しいケースです。確定申告書などの収入資料はもちろんのこと、病気やケガによって仕事の受注量を減らさざるを得なかった経緯や、具体的な業務遂行上の支障(集中力が続かず作業に時間がかかる、体調不良で納期に遅れがちなど)を詳細に申告する必要があります。実際に、課税証明を取得することで働けていないことを立証し、受給につながったケースもあります。

収入はいくらまで?所得制限のウソ・ホント

多くの方が気にされる収入額と所得制限について、正確な情報をお伝えします。

原則、所得制限はありません

障害厚生年金や、20歳以降に保険料を納付した期間に基づく障害基礎年金には、ご本人の所得による支給制限はありません。 たとえ年収が500万円、1000万円あっても、障害の状態が認定基準に該当すれば年金は支給されます。(ただし、高収入を得ていると「労働能力に支障なし」と判断され、認定基準に該当しないと判断される可能性はあります)

【例外】20歳前傷病による障害基礎年金

初診日が20歳より前にある「20歳前傷病による障害基礎年金」には、所得制限があります。 これは、保険料を納付していない方向けの福祉的な制度であるためです。

前年の所得額に応じて、年金の半額または全額が支給停止となります。(2024年度の金額)

前年の所得額(単身の場合)

支給制限

370.4万円以下

制限なし(全額支給)

370.4万円超 ~ 472.1万円以下

2分の1支給停止

472.1万円超

全額支給停止

※扶養親族の人数によって所得制限額は変わります。

 

これで万全!申請書類の作成ポイント【社労士の腕の見せ所】

働きながらの申請を成功させるには、2つの重要書類「診断書」と「病歴・就労状況等申立書」の作成が全てと言っても過言ではありません。

診断書:医師に「働きづらさ」を正確に伝えていますか?

医師は診察室でのあなたの姿しか知りません。日常生活や、特に職場での困難な状況を正確に伝えなければ、実態に即した診断書を書いてもらうことはできません。

診断書を依頼する際は、職場での状況をまとめたメモを医師に渡すことを強くお勧めします。

<メモの記載例>

  • 職場で受けている配慮:
  • 「〇〇の業務は難しいため、▲▲という簡単な作業に変更してもらっています」
  • 「1時間に1回は10分の休憩を取らないと、業務が続けられません」
  • 「通院のため、月に2回は半休を取得しています」
  • 仕事での支障:
  • 「集中力が続かず、簡単な入力作業でミスを連発してしまいます」
  • 「急な指示や複数の指示があると頭が混乱し、パニックになります」
  • 通勤・帰宅後の状況:
  • 「満員電車に乗れず、各駅停車で1時間以上かけて通勤しています」
  • 「帰宅後は疲れ果ててしまい、食事も入浴もできずに寝込む日が多いです」

こうした具体的な情報を伝えることで、診断書の「労働能力」に関する記載がより実態に沿ったものになります。

病歴・就労状況等申立書:ここが勝負の分かれ道!

ご自身で作成するこの書類は、診断書だけでは伝わらない「就労の困難さ」をアピールするための最大のチャンスです。

ただ「仕事が辛いです」と書くだけでは不十分です。就労期間と無職の期間を時系列で整理し、それぞれの期間について以下の点を具体的に、客観的な事実として書きましょう。

  • 業務内容: (例:データ入力、梱包作業、電話応対)
  • 1日の勤務時間と実働時間
  • 受けていた配慮: (例:上司が指示を紙に書いてくれた、頻繁な休憩を許可されていた)
  • 仕事で支障があったこと: (例:顧客との会話が困難だった、ミスが多く何度も注意された)
  • 欠勤状況: (例:月に3~4日は体調不良で欠勤していた)
  • 退職した理由: (例:症状が悪化し、これ以上の勤務は困難だと判断したため)

「これだけの配慮があって、ようやく短時間働くのが限界である」「仕事から帰ると、家事や身の回りのことは一切できない」といった実態を具体的に示すことで、審査官にあなたの労働能力が著しく制限されていることを伝えられます。また、ご自身の主張だけにとどまらず、もしも可能であれば第三者(お勤めの会社やその会社の上司・同僚など)の意見書<任意書式>を添付できると客観性も高まって更に可能性が広がります。

よくある質問(Q&A)

Q1. 障害年金をもらっていることは会社にバレますか?

A1. 原則として、ご自身から話さない限り会社に知られることはありません。

障害年金は非課税所得のため、年末調整の際に会社に申告する必要はありません。また、社会保険料の計算にも影響しないため、給与計算や社会保険手続きを通じて会社が受給の事実を知ることは通常ありません。

ただし、例外として健康保険の「傷病手当金」を会社経由で申請する場合は、申請書に障害年金の受給状況を記載する欄があるため、会社に知られる可能性があります。

Q2. 更新の時に働いていると、支給停止になりますか?

A2. すぐに停止するわけではありません。

障害年金には1~5年の有期認定があり、更新時には「障害状態確認届(更新時の診断書)」を提出します。その診断書の内容に基づき、引き続き障害等級に該当するかが審査されます。

考え方は新規申請の時と同じで、更新時の就労の実態がどう評価されるかがポイントです。症状が変わらない中で、以前と同じように職場の配慮を受けながら何とか働いている状況であれば、支給が継続される可能性は十分にあります。

Q3. 一度不支給になりました。働きながら再申請できますか?

A3. はい、再申請(再請求)は可能です。

不支給になった理由を日本年金機構に確認し、その理由を覆すための新たな証拠や、より具体的な申立てを用意して再申請に臨むことが重要です。特に、就労上の支障を前回よりも具体的に示すことで、結果が変わるケースもあります。諦めずに専門家にご相談ください。

まとめ:働きながらの障害年金申請こそ、専門家にご相談ください

この記事では、働きながら障害年金を受給するためのポイントを解説してきました。

  • 障害年金は働きながらでも受給できる。
  • 審査では収入額より「働き方」や「職場での配慮」が重要。
  • 特に精神障害では、就労状況が審査に大きく影響する。
  • 診断書と病歴・就労状況等申立書で「働くいかに困難か」を具体的に示すことが鍵。

ご覧いただいたように、働きながらの障害年金申請は、ご自身の状況を「いかに客観的かつ的確に伝えられるか」が全てであり、非常に高度な知識とノウハウが求められます。

「自分の状況を上手く医師や書類で説明できる自信がない…」

「仕事と両立しながら、複雑な手続きを進めるのは負担が大きい…」

「一度きりの申請で失敗したくない…」

もし少しでもそう感じたら、どうか一人で悩まずに、私たち障害年金専門の社会保険労務士にご相談ください。

私たちは、あなたの「働きたい」という気持ちを尊重しながら、障害年金の専門家として、受給の可能性を最大限に高めるための最適なサポートをご提供することをお約束します。

初回の相談は無料です。まずはお気軽にご自身の状況をお聞かせください。

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最終更新日 1か月

著者

横堀 健
横堀 健社会保険労務士
はじめまして。「東京新宿・渋谷障害年金プラザ」を運営する横堀健社会保険労務士事務所の横堀健です。
障害年金は、身体障害だけでなく、知的障害や精神疾患、ガン、脳血管疾患、心疾患、糖尿病などにより生活や仕事に支障がある方を対象とした公的年金制度です。しかし、認知度が低く、受給資格があるのに請求していない方が多くいらっしゃいます。さらに、手続きが複雑なため、途中で諦めてしまう方も少なくありません。
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