出産を機にうつ病を発症、障害厚生年金2級を取得し年間162万円を受給。母子支援施設から障害者雇用で再出発したケース

相談者

性別：女性

年齢層：30代

職業：無職（申請当時）→ 現在は障害者雇用にて就労中

傷病名：うつ病（当初はADHD・バセドウ病も併発していたが、最終的にうつ病のみで申請）

決定した年金の種類と等級：障害厚生年金2級（遡及あり）

年間受給額：約1,623,023円

相談時の状況

依頼者は、出産後のホルモンバランスの変化と育児ストレスをきっかけに、令和5年8月にうつ病を発症しました。元々は適応障害やADHDの傾向も見られており、身体疾患としてはバセドウ病の既往もありました。心身ともに不安定な状態が続くなか、夫が家出し離婚、発達特性を抱える幼いお子さんと二人で生活せざるを得ない状況に追い込まれました。

生活の困難さから、現在は自治体の支援により母子生活支援施設に入居。自炊や清掃ができない日が続き、清潔保持や金銭管理も困難な状態で、精神的にも不安定な日々を過ごしておられました。精神科へ月1回の通院を続けるも症状はなかなか改善せず、ヘルパーの支援を受けながら最低限の生活を送る状況が続いていました。

相談から請求までのサポート

ご相談を受けた当初、傷病名にはうつ病に加えてADHDやバセドウ病も含まれておりましたが、バセドウ病に関しては主治医から診断書の発行ができないとの回答があり、最終的にうつ病単独での申請に方針転換しました。

うつ病の初診日が厚生年金加入中であったことを確認し、障害厚生年金での請求としました。医師には、家事や育児、通院、金銭管理、対人関係など、日常生活における支障を具体的に診断書へ反映していただくよう依頼。特に、母子生活支援施設での生活を余儀なくされている状況や、自治体・福祉サービスに頼らざるを得ない生活の実態を「病歴・就労状況等申立書」に詳細に記述し、生活能力の欠如が審査機関に伝わるよう丁寧にサポートしました。

障害認定日は令和7年2月となり、同月に受給権を取得。あわせて、認定日請求による約半年分の遡及支給も実現しました。

結果

申請の結果、うつ病による障害厚生年金2級が認定され、年間約1,623,023円の年金受給が決定。さらに、障害認定日請求により、約半年分の遡及支給も認められました。これにより、生活の基盤が安定し、依頼者は母子支援施設での生活を継続しながら、再び社会に出る準備を始められるようになりました。

現在は障害者雇用制度を活用し、週数日の勤務を無理のない範囲で続けています。治療と仕事の両立を目指し、少しずつ回復と自立に向けて歩みを進めておられます。

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著者

横堀健社会保険労務士: はじめまして。「東京新宿・渋谷障害年金プラザ」を運営する横堀健社会保険労務士事務所の横堀健です。
障害年金は、身体障害だけでなく、知的障害や精神疾患、ガン、脳血管疾患、心疾患、糖尿病などにより生活や仕事に支障がある方を対象とした公的年金制度です。しかし、認知度が低く、受給資格があるのに請求していない方が多くいらっしゃいます。さらに、手続きが複雑なため、途中で諦めてしまう方も少なくありません。
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