双極性障害で障害厚生年金2級を取得、年間約125万円の受給に成功したケース

相談者

性別：女性
年齢層：20代
職業：障害者雇用（一般事務、月7～10日勤務）
傷病名：双極性障害
決定した年金の種類と等級：障害厚生年金2級
年間受給額：1,248,097円
受給権取得年月：令和7年6月

相談時の状況

相談者は令和5年12月に、死を強く意識するほどの希死念慮により「死ぬ前に病院に行こう」と決意し、精神科を受診しました。診断は双極性障害。以降、月1回の通院を継続しておられます。

躁状態では高額な買い物を繰り返し、2か月で200万円を使い果たすこともありました。近年では毎月50万円をキャッシングし、美容整形などに費やしていたことから、金銭管理は家族が全面的に行う必要がある状況でした。

現在は障害者雇用で、月7～10日程度勤務されています。広場恐怖症やパニック症状があるため、出勤はすべて父親の送迎によるもので、公共交通機関は利用できません。また、頻回な早退や欠勤もあり、1時間程度しか勤務できない日もあるなど、就労継続には大きな困難を伴っていました。

日常生活においても、自身で食事の準備や家事を行うことはできず、服薬管理や入浴・身だしなみも家族のサポートが不可欠でした。安全面でも記憶が突然飛ぶ、信号の意味が理解できなくなるといった危険な症状があり、車の運転も中止。通院時にも自らの症状を医師に伝えることが難しい状態でした。

さらに、相談者は幼少期から家庭内で精神的・肉体的虐待を受けてきた背景があるが、現在も親との関係が悪化したまま同居を余儀なくされています。経済的な自立を果たし、グループホームや一人暮らしへの移行を強く希望されていました。

相談から請求までのサポート

初診日が明確で、カルテの保存も確認できたため、障害認定日（初診から1年6か月後）を基準にした認定日請求で手続きを進めました。

診断書の取得にあたっては、相談者が日常生活で直面している具体的な困難（自殺念慮、金銭浪費、家事不能、就労困難など）について、医師にしっかりと伝わるよう支援。特に、診察時に本人が自分の状態をうまく表現できないことを踏まえた上での書類を作成をしました。

「病歴・就労状況等申立書」では、職場での支援体制や就労の実態（頻繁な欠勤・早退、個室勤務、特別配慮など）を詳細に記載し、日常生活の支障とあわせて総合的な障害状態を審査機関に正確に伝えるよう努めました。

また、最初は親の支援があって（職場への送迎や日常生活全般の支援）とてもいい親子関係だと思っていましたが、話を聞いていくうちに、親からの金銭的な依存、過去の虐待、同居の困難さなど、かなり依頼者の精神的な負担を感じ、病状の悪化、親元から逃げ出したいといった最終的な本音にたどりつけました。そのような状況下でしたので、プライバシーの徹底（親に申請していることをばれたくない）、書類の郵送先ややり取りについても慎重に対応し、安心して申請を進められるよう支援しました。

結果

申請の結果、障害厚生年金2級が令和7年6月に認定され、年間約125万円の受給が決定しました。障害認定日ちょうどの申請であったため、遡及分の支給はありませんでしたが、今後の安定した収入の見通しが立ったことで、相談者は親元から離れ、自立した生活を目指す第一歩を踏み出すことができました。

「障害年金を受け取れるようになって、本当にホッとしています。将来はグループホームや一人暮らしで、自分らしく生活していきたい」とお話しされており、今後の生活再建に向けた意欲を新たにされています。

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著者

横堀健社会保険労務士: はじめまして。「東京新宿・渋谷障害年金プラザ」を運営する横堀健社会保険労務士事務所の横堀健です。
障害年金は、身体障害だけでなく、知的障害や精神疾患、ガン、脳血管疾患、心疾患、糖尿病などにより生活や仕事に支障がある方を対象とした公的年金制度です。しかし、認知度が低く、受給資格があるのに請求していない方が多くいらっしゃいます。さらに、手続きが複雑なため、途中で諦めてしまう方も少なくありません。
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